米原万里のエッセイ

新聞のリレー連載で、記者が文章術を伝授するコーナーにて紹介されていた本。

こうしてまたロシアに関連した本を読むことになり、私の脳内はロシアでいっぱい。

 

日露通訳者として活躍していた著者の本は、真面目な言語コミュニケーション論から、通訳の(主に他人の)失敗、笑い話、そして今の時代からするとびっくりするシモネタやポリティカリー・インコレクトな表現がちりばめられている。

大体、本のタイトルだって、もちろん意味があって「あえて」このタイトルな訳だけれど、今ならその「あえて」が許されないでしょう。

 

通訳が、翻訳とちがい、その場限りの「消えもの」であるおかげで笑える失敗になっているものが、今の動画時代はきっとそうではなくなり、失敗が叩かれ、シモネタへの許容度も下がっているというのを考えると、うーん、やっぱり昔はおおらかでよかったなぁ、という安直な感想になってしまうのは、仕事でネットでの批判対応に追われている今だからかもしれない。

 

あとやっぱり、通訳と言う仕事が、今後存在し得るか、ということも考えてしまいますが、この本を読む限り、通訳に必要な能力を完璧に機械が身につける日は来ないな、と思います。