十二の椅子

またかい、という感じですが、これも『ロシア語メモ』で紹介されていた本。

今度は勘違いすることもないほどに、生粋のロシア(ソビエト)文学の本。

私はあまり本を読むのが早くないし、読める時間も通勤時くらいなので図書館で本を借りても読み切れないこともしょっちゅう。

今回も、壊れそうな古い本で読むのもそっと、という有様の小さな字の二段組で、もう、ちょっとだけ読んで終わりにしようかな、と思って読み始めたらむちゃくちゃ面白い。一回期間を延長して、何とか読み切りました。最後の方は、なんか、本の印刷も斜めになっていました。

とにかく難儀するのはロシアの人名で、これには手こずりましたが、あまりにも個性的な登場人物ばかりで、最初は訳分からなかったものの、途中からようやく波に乗ることができました。

あらすじにしてしまえば、わずか200字くらいでまとめられてしまうし、ネタバレされたら最悪で、ほんとにこの長編を読む気が失せるのですが、主人公二人の冒険についハラハラして、どんどん読み進めてしまう、そんな小説でした。

翻訳や映画化もたくさんされているようなのに、古い(それでもかろうじて新装版の)初版が図書館の書庫で眠っているだけのようで本当にもったいない!そして「続編」の「黄金の仔牛」に至っては、古すぎて、「館内閲覧のみ」とかになっている。

訳も、ソビエトを感じさせながらも、とても軽快で読みやすく、素晴らしかったです。 ただ、私はこれが「世界ユーモア文庫」というシリーズらしいので、ユーモア好きとして頑張って読みましたが、「ユーモア」なのか、そうでもないのか、はラベルがなかったら判断できないままだったかもしれません。 

いずれにしても、主人公のオスタップとボロニヤニノフや「宿敵」フョードル神父がソビエト中を駆けめぐっている、その土地をせめて地図上で追体験したいのですが、いきなりグーグルマップでも見つけられなかったり。逆に、今のウクライナとの戦争の文脈で見聞きする地名に心を痛めたり。(今ちらっと見たところ、始まりの都市は架空の市らしい!)