生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)


積ん読になっていたこの本を読むのに今ほどふさわしいときはない、と読み始め、
読むの遅い私にしては割と早く読めました。
噂通り文章が面白いから。


でも私は生物系の話でいつも、DNA、アミノ酸、タンパク質、細胞…という大きさの違う世界を自由に行き来しているのについていけなくなってしまうのですね、恥ずかしながら。今回も然り…。


結局今はどのレベル(大きさ)の話をしているんだろう、というのがわからなくなってしまう。


何らかの実験を見た(した)経験があったらもう少しスムーズに理解できるんだろうか。


それでも、自分が断片的に理解した範囲での感想ではありますが、これを読んだらやっぱり「新たな生命が生まれる」っていうことは本当にすごいことだな、と思いました。


自分の中で気に留まったキーワード。備忘録として書いておこう。

  • 自己複製 

「生物」と「無生物」をわけるものとして最初に出てくる考えで、筆者はこれでとどまらない論考をしていく訳ですが、今の私にはこの「自己複製」はすごくしっくりくる。自分の中に新たな生命が宿るこの不思議を説明するのにこれほど端的な言葉ないように思ったので。

「生物」と「無生物」をわける考えとして出てくるこの生物のみが持つ特質。一度出来上がったらもう体はそのままだと思っていたらそうではなくて、タンパク質がどんどん入れ替わっているんだよ、というふうに理解しました。そうか、それで「50代過ぎたらタンパク質を摂りなさい」という教えの本とか出てきたのか、と妙に納得したと同時に、今の自分はやっぱりタンパク質を頑張って摂らないとな、と単純に思ったのでした。

この本の「オチ」を言ってしまっていますが。ノックアウトマウスをつくってみても、結局ターゲットとしていた機能は他のタンパク質が補完していた、という結果から、生物は単なる部品の組み合わせではない、ということと理解しました(間違っていたらすみません)。これもまた自分の中できっと今(もう少し前かな)、タンパク質たちがせっせせっせと、自分が頭で考えてみても絶対に考えつきもしないものすごく頭のいいことをして「新たな人間」をつくっているかと思うとやっぱり感動します。生物ってすごい。

  • 受精卵は母体でしか育たない

実験で使うマウスであっても、受精卵はマウスに戻さないと育たないということ。これは別に筆者の主張部分ではないけれど、生物が育つ上で母体ってのは一体どんな役割があるんだろう、どうして母体の中でないと育たないんだろう、というのは今の素朴な疑問です。